乳がん治療において、特に辛かったこと、
それは髪が抜けることでした。本当にイヤでした。
私が使用した「パクリタキセル」というタキサン系の薬は脱毛を阻止できない薬で、どうしても避けて通れないものでした。
「化学療法=脱毛」
という図式しか思い描かなかった私は、病気のことより髪が抜けることの方が一大事でした。「髪が抜けるなら抗がん剤はしたくない。ウィッグも絶対にイヤだ」と主治医や家族に言って困らせました。
それでもいつか「なぜあの時、抗がん剤をしなかったんだろう」と思う時が来ては遅いと思い、覚悟して化学療法を開始しました。
「投薬から約16日〜20日で脱毛が始まります」という医師の説明は本当に正確で、きっちり16日目からパラパラと髪が抜け始めた時には「本当に自分はがん患者なのだ」と実感し、涙が止まりませんでした。
髪が抜け始めた頃、田舎に住む母が私を訪ねて来ました。
家族の前では気丈に涙を見せないつもりでいましたが、髪が抜け始めた頃、さすがに精神的に落ち込み、母の前で泣きました。
シャワーを浴びるとどっと抜けるのでお風呂に入れない。
お風呂上がりのドライヤーは恐怖そのもので、一回で髪全てが抜けてしまうのではないかと思うほど。抜け始めてから髪がなくなるまで、数日ほどであっという間でした。
(※個人差があります。私の友人は同じ病気をして投薬が終わるまで半分くらい残ったそう)
私の髪に対する執着はかなりのもので、それについては随時触れていきますが、今の私が言えるアドバイスとしては、もし髪が抜けることを理由に化学療法に戸惑いがある方がいらっしゃるとすれば、「髪は工夫すればウィッグとわからないほど自然なスタイルにできるし、バレない」ということと「髪は必ず生えてくる」ということを力強く伝えたいです。
そしてその頭皮にもまた、鍼灸はパワーを発揮する!!のです。
つづく
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