人が亡くなると、やらなくてはならない手続きがいろいろあります。
夫の死後、もうろうとしながらそれらをこなしました。ほぼ記憶にありません。ただただ動いていたという感じです。
そんなことも一段落つくと、何もする気がしませんでした。むしろできない、体が動かない。
もし会社員だったら、忌引き休みのあと職場に戻って仕事をするのでしょう。しかしこの時の私は無職。
いずれ鍼灸の専門学校に行く予定でしたが、夫が亡くなってすぐはとても無理な状態。
その次の年に行くつもりでした(専門学校に受かればですが。)
ではそれまでの間、どうしよう。バイトでもして生活の足しにするべきだ、そう思うのですが、体が重くて動かないのです。
何もする気にならないのです。こんなことではいけない、ちゃんとしなければ、将来のためにも何かしなくては!
そう焦るのですが、できませんでした。
外に出るのもつらい、人ととも話したくない、疲れてしまう。
もともとの私は外交的で外に出るのが好きだし、話をするのも好き、夜遅くまで飲みに行くのもよくあること、
そんな私がこんな状態だなんて、自分でびっくりしました。
病院に行ったらきっと「うつ」って診断されるんだろうな、そんなことも考えていました。
このころ、抜け毛が多くなりました。髪の毛を洗うとドッと抜けるのです。排水溝に溜まった髪の毛を見ても
明らかに以前より増えています。自分でも怖くなるくらいでした。
見た目にすごく薄くなったわけではなかったのですが、3分の1くらい減ったと思います。
髪の毛が何を意味するか、それはのちに鍼灸の勉強をしてわかったのですが、ほんとにエネルギーの枯渇状態だったのです。
体が動かないのも当然です。ただこのころは「このままではいけない!何かしなくては!」そう焦るのですができない、
そんな自分を情けなく思っていました。
何もしないまま時間が過ぎ、鍼灸の専門学校の受験が近づきました。今のようにインターネットが普及していな時代だったので、
学校に電話で問い合わせたり、資料を取り寄せたりしたと思います。
重い体を引きずるように卒業した学校に卒業証明書を取りに行ったのを覚えています。そんなことすら必死にならないとできなかったのです。
なんとか鍼灸の専門学校に合格し、少しだけ道が開けた気がしました。
NEXT >
copyright 一般社団法人女性の鍼灸 womens-acupuncture