女性の鍼灸 women's acupuncture

女性の鍼灸心と鍼灸

夫との死別による心と体への影響


【第1回】突然のがん宣告


31才、鍼灸師になる前、私には夫がいました。夫も同じ年31才。 その冬頃から夫の体調が悪くなりました。クリニックに行くと、最初は風邪との診断。しかしなかなか調子がよくなりません。いろいろ検査をしていきましたが、脂肪肝が見つかったくらいで、特に悪いところは無し。でも体調はすぐれない。だったら精神的なもの?それも腑に落ちない。

体調が悪くなって3ヶ月ほど経ったころ、次第に頭痛がひどくなっていき、頭のCTを撮ることになりました。 すると右前頭葉にこぶし大の腫瘍が見つかったのです。頭痛が悪化していったのは、腫瘍が成長しているためでした。脳腫瘍すなわち脳のがん。すぐに手術の日程が決まりました。

こぶし大の腫瘍、それが何を意味するのか。当時はインターネットが普及していない時代、今のようにすぐにさまざまな情報を集めることができません。そこで医師の友人に聞いてみました。状況、医師の対応の仕方などを伝えると「それはかなり危ない状況だね。」と。

「危ないって、、、死、、ということ?」と聞くと、
「必ずしも死ぬとは言えないけど、、やっぱり。。。」
「いつくらい?もちろん断定はできないのはわかっているけど。」
「半年なのか、1年なのか、3年なのか、それはなんとも言えないけど。覚悟はしておいた方がいいね。」
「・・・わかった、ありがとう。」
担当医師から、いきなり死を宣告されたわけではありません。しかし状況証拠からプロにはわかるんだな、そう感じました。

正直、まさか!です。まさかの想定外。いくら調子が悪いとはいえ、脳腫瘍を宣告されるとは、夢にも思っていませんでした。しかも死なんて何十年も先のことで、これっぽっちも考えないで生活をしていました。突然崖から突き落とされたようなものです。何がなんだかわかりません。頭の中が真っ白って、こういうことなんだ、そう思いました。

目の前にいる31才の男性が、間もなく死を迎える、いなくなってしまう、この世から肉体が無くなってしまう、それってどういうこと?結論の出ないさまざまな思いが心の中をよぎっていました。

そのころ生まれて初めて胃のあたりがチクチク、キリキリとしたのです。これがストレスで胃がやられるってことか!今まで胃腸は丈夫でそんな風になったことありません。その私の胃がチクチク、キリキリするなんて、そうとうダメージを受けているんだと思いました。

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