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鍼灸と乳がん治療〜かかりつけ鍼灸師とのがん治療〜


【第5回】家族への報告(カテゴリー:人間関係)


さて。正式に「あなたは乳がんです」と告げられたわけですが、体調の心配と同時に頭に浮かんだ心配事は「家族にどう伝えるべきか?」でした。

私はひとり暮らしで地方に家族がいるのですが、心配性な両親と姉に話したら自分以上に衝撃を受けるのではないかと思うと、告知から一週間経っても何も連絡できないままでした。

しかしこんな時、何かを感じ取るものがあるのが血縁。 滅多に連絡をしてこない姉から珍しく連絡が。

「胸の検査をしたら引っかかって。再検査したんだけど不安な数日を過ごしたよ。結果的に何もなかったんだけど、こんなこともあるから、あなたも検査しておきなさいよ」とのこと。

「いやもう、こちら既にアウトですから」と思いつつ来たメールに返信し「私は悪いものが見つかりました。まだお母さんとお父さんには言っていません」と告げました。

姉は看護師ですが、毎日他人の病気や生死に近い現場にいても身内のことになると、それとこれとは別らしく、姉なりに動揺したようです。

その後、母に電話したところ冷静な対応。 さすが母は私の性格を見抜いており、自分たちが動揺することで私の負担になるとでも思ったのかあっさりと「治すしかないね」と。

電話口で涙声になっているのは気づいていましたが、家族の反応や言葉は良い意味であっさりした印象で、ありがたいことでした。

後から聞いたところ、私の知らないところで姉と両親が話をしていたようです。 看護師の姉が「今は本人が病気という事実を受け入れることだけで精一杯なんだから、本人の意思を尊重して余計なことは言わないでおこう」と。 私への対応はそれが正解でした。

しかし、病気の話を家族にするのは本当に苦痛なものです。 隠せるなら隠し通したいと思いましたが、治療の内容的にも性格的にもそれは無理でした。(手術ひとつするにしても家族の同意が必要)

両親にとって私は37歳というとっくに大人の年齢であっても子供であることに変わりなく、娘が知らないうちに病気になり、苦しんでいたと後で知ったら、その方がさらに辛いだろうと思いました。逆に自分が家族の大変な時に何も知らされなかったとしたら何とも言えない気分になるだろうなと。

ある知人は、家族に何も言わないまま、抗がん剤、手術、放射線治療を済ませたそうです。その嘘が「二年間留学するからしばらく会えない」だったそうです。

その人にはその人の事情(家族関係)があると思うので人それぞれですが、そこまでしてでも隠したくもなるのが、がんなのかもしれません。

もし今、家族への告知に悩んでいる方がいるとしたら、同居していてもしていなくても、この先家族とのコミュニケーションを取る時に自分が辛くないか、精神的に負担にならないかを考えてみてください。

私のように家族が両親と姉だけというのは簡単な方で、旦那さんや小さな子供がいる場合は私以上に複雑で悩まれるのではないかと思います。でもそれだけ味方になってくれる人がそばにいて心強くなれるかもしれません。 (※全く味方にならなかった、という話もよく聞くのも事実)

わかっているのは今の状況と、これからの治療プログラム。 私は、この先の不安や泣き言を吐露すると家族も不安になると思ったのでそれについては言いませんでした。感情的にならずにただ事実だけ伝えることに徹したので、それ以上家族も余計な不安を抱かずに済んだかなと思います。 (表情に出さないだけで、それでも随分心配していたとは思いますが)

家族への告知をクリアしたら、次は職場や友人への告白です。 これが後々何かと自分の中で波紋を呼ぶのです。

次回に続く。

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