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鍼灸と乳がん治療〜かかりつけ鍼灸師とのがん治療〜


【第7回】人の不幸は蜜の味:悪夢の夫婦篇①
(カテゴリー:人間関係)


当時、働いていた職場には事務職の女性がいました。 派遣で勤務していたその女性はいつも午後に出社し、自分の仕事を淡々とこなして5時には退社するというリズムで、積極的に誰かと会話したり、ランチに誘い合って出かけるようなキャラではなく、寡黙でどちらかと地味で、それでも優しくて品の良いおばさまでした。

私は仕事上、毎日そのおばさまに依頼をしたりすることがあったのですが、ちょうど病気を告知されて不安定な頃でした。仕事のことで話しかけたところ 「なんかここ数日とても顔色が悪いんだけど。私、ピンと来たわ。病気でしょ?」と。 年の功なのか何なのか。 いつもは寡黙なのに、饒舌に私に話しかけて来ました。

少しでも油断すれば涙が出るような心境にいた私は、そのおばさまの一言でしゃがみこんでその場で泣き、事情を話してしまいました。 「Rさん、LINE教えてちょうだい。私、味方になるわ」そう言って、帰ったおばさま。 その夜に来た内容が以下。

「Rさん、今日は失礼かと思いながら、いろいろなことを聞いてしまい、失礼しました。 私はRさんのことを歳の離れた妹のように思っています。だからこそ治るまで見守らせていただけませんか?今週末、お時間いただけますでしょうか。10時にN駅に来てください」とのこと。 藁にでもすがる思いでその週末N駅に行ったのです。

すると、N駅で現れたおばさまは高級そうな外車の助手席からサングラスをかけて登場しました。いつもの職場で見るおばさまとのギャップに少々動揺していると意気揚々と「さぁ、乗ってちょうだい」と。

外車


その車には「私のパートナーなの」と紹介された自分の父親と同じくらいの歳の男性が乗っていました。「こんにちは」と言うと私の顔を見て一言「ほんとだ。あんた、がんになりそうな顔してるわ!」と言われたその違和感。

健康な精神状態であれば「もうすでに何かおかしい」と思うでしょう。 今の私なら、いつもと様子の違うおばさまと、そのパートナーと名乗るおじさんの態度を見てすぐに立ち去る勇気があります。 でもその時はなかったのです。

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