ある女性鍼灸師の生理痛と鍼灸治療実例をご紹介します。
かつて私はかなりひどい生理痛でした。それはそれは、のた打ち回るほどの痛み、
お腹を剥ぎ取ってしまいたいくらい!肩こり、頭痛、吐き気もあり、精神的にも不安定になっていました。
生理痛の相談に初めて婦人科に行ったのは20才の頃。
診察すると、子宮などには特に問題はない。だから、生理痛はしょうがないとのことでした。
私「けっこう激しい運動をしているので、そのせいかと思うのですが…。」
先生「だったらそうなんじゃない。」
私「どうしたらいいんでしょうか?」
先生「その運動をやめればいいんじゃない」
今だったらその時の対応に激怒だけど、
20才の私は素直に「生理痛は仕方がないものなんだ…」と思いました。
生理痛は我慢のみ、そんな時期を過ごしていました…。
30代、鍼灸の学校に行き始め、自分も患者のひとりとして、鍼灸治療に励みました。
課題のひとつが生理痛。週一で鍼灸治療に通い、自分でも毎日のように鍼やお灸をしていました。
本格的に治療を始めてしばらくすると、生理の時の出血が変わり始めました。
黒い、どろ~っとした血の塊(瘀血)がたくさん出るようになったのです。
うっそお~、こんなにたくさんでるの~?きゃあ~、この大きな塊って何~?
それはそれはビックリしたものです。
でも、出ていくとなんだかお腹も体もすっきり!
すごくうれしい気持ちになりました。
そんな状況が1年ほど続き、
少しずつですが、生理痛も軽くなってきました。
大量のドロドロ血・塊り血(瘀血)がおさまりだすと、生理の時の血液(経血)が変化してきました。
サラサラしているし、きれいな赤なんです。
今までの経血はドロドロして黒っぽく、それが普通かと思っていました。
なんか子宮もきれいになった気がして、とてもうれしいかったです。
生理痛はあるけれど、あの、恐ろしいほどの激痛はなくなりました。
しかし、ここで終わりではありません。
激痛の頃は、ただただ痛いだけでしたが、
次第に、生理に伴う痛み、体の不快感、月経前症候群などが、
冷静に観察できるようになりました。
私の生理痛の症状は、
生理の初日と2日目にすごく痛くなるタイプ。
お腹は、剥ぎ取られるような鋭い痛み。
肩、首の凝り、頭痛、ぎゅ~っとしめつけられるような感じ。苦しい!
腰は重だるい。どちらかというと、腰の症状は他より軽い。
痛みに対して、いろいろ試してみました。たとえば、、、
三陰交(サンインコウ)に鍼を打つ。お灸をする。指圧をする。…あまり効果がない。
血海(ケッカイ)はどうか?…あまり変わらない。
照海(ショウカイ)は? 水泉(スイセン)は?
と、婦人科系に効くとされるツボを片っぱしから試してみました。
しかし、即効性はありませんでした。
痛みが出てからツボ刺激をしても、私の場合効果がなかったのです。
痛みが出てからでは遅いのです!
自分の経験から言うと、
痛みが出る前に集中的に治療をすることが大切!
そして、生理前だけでなく、
日頃のメンテナンス・治療による根本的な改善が重要なのです。
私もご多分にもれず首肩こり症。
気づいたのですが、
生理の時の首肩こりは、ふつうの時の肩こりと違うのです。
何が違うのかというと、生理の時は、
通常の首肩こりの治療(鍼やお灸、マッサージなど)をしても、
効かない!変わらない!楽にならない!のです。
なぜでしょう…?
そもそもの原因が違うからです。
通常の肩こりは、
使い過ぎ、姿勢の悪さ、運動不足、ストレスなどから、
血流が悪くなり、筋肉が硬くなってしまっている。
しかし、生理痛の時は、その原因が生理によるもの、
すなわち、女性ホルモンのバランスの変化や子宮の変化からくるもの、
だから、婦人科系の状態が改善しなければ、楽にならないのです。
鍼灸治療を続けていくうちに生理痛は、徐々に楽になっていきましたが、
生理の時の首肩こりは、最後までなかなか楽になりませんでした。
20才の頃からの激しい生理痛との生活。
あれからどれだけの月日が経ったかはご想像におまかせするとして、
やっと最近、上手に付き合えるようになったなあ、と思います。
長い長い時間がかかりました。
少しずつ、少しずつ、体験しながら学んできた感じです。
その経験があったからこそ、
患者様には、そんなに時間をかけず、早く楽になってもらえるような治療とアドバイスが出来ると思います。
生理痛のつらい方、あきらめないで、必ず改善します。
それにはある程度の時間がかかるかもしれませんが、
その努力は生理痛だけでなく、体全体の健康にもつながっていきます。
自分でできる生理痛改善対策をご紹介します。
・お腹や腰を冷やさないのは最低条件!
・婦人科系のツボに、お灸がおすすめ。(せんねん灸など)
・適度な運動。血流を良くします。
そして生理痛・月経前症候群の起こる2,3日前の徹底的治療がとても重要で効果的です。
・三陰交・水泉・血海など婦人科系のツボにお灸。
・お腹や腰のツボにも、できればお灸をする。
腰のツボは、ひとりではできないので、無理はしない。
お腹は、長時間出していると冷えてしまうので、要注意。
・お腹、腰(仙骨)にカイロを貼る。
夏でも冷房のきつい場所では冷えるので、貼りましょう。
ただし、炎天下や暑い場所でカイロを貼っていると具合が悪くなるおそれがあるので、
臨機応変に対応して下さい。
・お風呂でしっかり温まる。いつもより長めに入りましょう。
・この時期に鍼灸治療を受けるのは、おすすめです。
copyright 一般社団法人女性の鍼灸 womens-acupuncture